世界一透明な海・イタリア・ランペドゥーサ島 の船で食べた忘れられないパスタ

私には、忘れられないパスタの味がある。
イタリア最南端の島“ランペドゥーサ島”の船の上で食べた、船長さんが作ってくれたパスタ。

水の透明度が高過ぎて、船が空に浮いたように水中に影が落ちるので“Flying boat”なんて呼ばれる、イタリア・ランペドゥーサ島。この島の写真を見て「この景色が見たい!」という一心で行った島で感じた、イタリア人と食の関係のお話。

南イタリア・シチリア島の玄関口・パレルモから小型の飛行機で1時間ちょっとでのんびりとした空気のランペドゥーサ島に到着します。綺麗な海のイメージから、洗練されたリゾートアイランドなのかなぁー。と、想像をしていたら、のんびりとした小さなイタリアの島でした。

滞在したのは、黄色がとってもかわいいリゾートホテル、La Calandra Resort (ラ カランドラリゾート) 。チェックインして遅めの朝食を食べていたら、

「今日の船、乗る??」
と、
フレンドリーなほてるのおじちゃんスタッフが聞いてきた。

「もちろん!」と、返事をしていそいそと朝食を食べ終えて、海へいく準備をして船へ!

夏のバカンスシーズン中は毎日、ホテルのゲスト達で貸切のクルージング船を出してくれてるのだ!

港までみんなで送ってもらい、船に乗り込むと、他のゲストはみんなバカンス中のイタリア人!他の外国籍のゲストも居るのかな?って思っていたら、びっくりするくらいイタリア人ばっかり。

その中でとっても異彩を放つアジア人夫婦の私達(しかもアジア人の中でも童顔な部類に入る私達。笑)「何でこの2人はこんな島まで来ちゃったの!?」的な目線で見られつつ、青い・南イタリアの海へ出航!

プールみたいに青くて透明な海がどこまでも続く景色は、写真で憧れて何度も何度もイメージしてきた通り!どこまでも広がりつづける、青く透明な景色にうっとりしながら海へ出た。

ホテルのゲスト達は落ち着いた中年のご夫婦が多めで、その中でも2組、私達より若いイタリア人カップルが居た。1組はモデルカップルで美男美女!(手足がすこぶる長い!眼の色が綺麗!)で、もう1組は彼女さんがとっても人懐っこい、元気なカップル。

他のゲストたちはもう既に何日か滞在をしていて仲良くなっている空気感。初めて乗り込む私達に、元気なカップルの彼女が話しかけてくれた。

「It’s time to eat!!!」

ランチタイムだよー!と、元気なイタリア人の彼女が声をかけてくれた。 海で泳いだり、甲板で日焼けしたり各々楽しんでいたゲストたちが船上のダイニングスペースへ集う。

そこで手渡されたのがプラスチック製のお皿とコップを置けて、しかも片手で持てる、シンプル且つ合理的なトレー。そして、なんでもないプラスチックカップに、ダバダバと白ワインが注がれる。(ちなみに飲み物のチョイスは「白ワイン」か「水」シンプルでいい!)

そして、私はここでイタリア人の食文化の奥深さを目の当たりにするのでした。

 

「It’s time to eat!!!」の、元気な掛け声でダイニングスペースへ行くと、もうランチの準備が。

コップに注がれた白ワイン。ランチは前菜から始まります。これがまた、南イタリアらしいものばかり!1日目の前菜は、ゴロゴロした野菜のカポナータ。隠し味のバルサミコもしっかりきいてて、すっきりおいしい!そして、かなりしっかりとした酢でしめてあるイワシ。

この酢じめの鰯を食べると、日本の“ままかり”を思い出して「海に囲まれてる日本人も、イタリア人もやっぱ通ずるところあるよなぁ。」って気持ちになります。バッチリと酸味が効いたイワシを齧りながら、白ワインで流し込む。別の日は、ちょっと厚めにカットしたカジキマグロのカルパッチョ!ケイパーと薄くスライスした玉ねぎがいい感じ。野菜を薄くカットしてグリルした「焼き野菜のカルパッチョ(←私命名)」も野菜とオリーブオイル、塩っていうシンプルな素材で、おいしかったなぁ。

そして、メインディッシュは船長さんが作ってくれるパスタ。これが私の忘れられないパスタ!寸胴鍋で”ドン”っと出てきて、豪快に取り分けてくれるんだけど、このパスタが美味しいのなんの!

「人生でイチバン美味しかったパスタは?」
って聞かれたら、
「ランペドゥーサの海の上で食べた船長さんのパスタ!」

って言うくらい、心に染みる味。

大鍋で作ってるのに、ちゃんと麺もプリッとしてて、素朴でシンプルな組み合わせのソースと具材がとてもいい具合のバランス。トマトとツナのシンプルな素材のパスタも、何であんなに美味しくなるんだろう!ってくらい本当に美味しかった。

もちろん、最高に綺麗な海の上で潮風に吹かれながら、っていうこの上ないのシチュエーションってこともあるんだけど、それを抜きにしても、シンプルでストレートな美味しさのパスタは私史上ナンバーワン。

そして、食後には、これまた小さなプラスチックカップで食後酒を飲んだり、午後の少しやわらいだ太陽の光を浴びながら、砂糖をジャリジャリに入れたエスプレッソを飲んだり。
(私、この船の上でエスプレッソの美味しさに目覚めました)

デザートには地元で採れたフルーツがずらり。日本では見ない形のプラムやプルーンが美味しい!そして、南イタリアらしく、サボテンの実もデザートで出てきました。

サボテンは、緑っぽい香りが強めのメロンのような味!種がいっぱいで最初は食べにくいなぁ。って感じるけど、それを気にせず2,3個食べると、種と一緒に美味しく食べるコツみたいのがわかってきて(うなぎの小骨みたいなもの?笑)ほんのりとした甘さがクセになるサボテンの実。

白ワイン飲んで、
魚と野菜の前菜食べて、
大鍋で作ったパスタを食べて、
フルーツを齧って
食後酒飲んで、
エスプレッソに甘い甘いケーキを合わせて…

と、これを船の上で毎日繰り返し。

クルージングの食事は毎日このパターンの繰り返しなんだけど、不思議と全然食べ飽きない!決して豪華ではないんだけど、シンプルな中に心に染みる美味しさがある。あぁ、これがソウルフードなんだなぁ。って思いました。

「同じ釜の飯を食う」ではないけど、
「同じ大鍋のパスタを食った」私達と数日間同じ時間を共に過ごした、イタリア人のみんなは、多分、何かが通じ合ってると思います。食事が持つ力って不思議だよなぁ。

世界一の透明度を誇る海の上で食べたパスタの味。
忘れられない味。いつかまた食べに帰ってこよう。